ホワイトニングのメカニズム【後編】
目次
プロローグ.ホワイトニンブログ8章のプロローグ
1.エナメル質表面はどのようになっているのか?
2.ホワイトニングによって歯のエナメル質に変化を起こす
3.歯科医師の指導のもと正しいホワイトニングを繰り返し行うことが肝心
4.マスキング効果によるホワイトニングは永遠に続かない
5.ホワイトニングのメカニズム【後編】まとめ
ホワイトニンブログ8章のプロローグ
前回のホワイトニングブログでは、光の波長を抑えるマスキング効果によってホワイトニングができること。またエナメル質で光の乱反射を起こす必要性についてもご説明させていただきました。今回のブログでは、エナメル質の構造と効果的なマスキングという観点で、ホワイトニングについて考えていきたいと思います。
1.エナメル質表面はどのようになっているのか?
歯の表面を覆っているエナメル質はどのような構造をしているのでしょうか?エナメル質の表面を拡大してみてみると、まるでガラスの角柱を束にしてそれを上から見ているような恰好をしています。この、ガラスの角棒の一本一本に該当するものが「エナメル小柱」と呼ばれるものです。さらにエナメル小柱を仔細に見てみると、見事な直方体であることがわかります。エナメル小柱は透明ですから簡単に外からの光を内部に通してしまいます。内部にある象牙質は黄色味がかった色ですので、一見すると歯は黄色味がかってみえる訳です。
2.ホワイトニングによって歯のエナメル質に変化を起こす
これはあくまでも電子顕微鏡レベルの微細な話ですが、ホワイトニング剤から発生したフリーラジカル(遊離基=ゆうりき)作用は、エナメル質表層のエナメル小柱の構造を角状から球に変化させる働きがあります。角状から球状に変わったエナメル小柱の表面は、ホワイトニング前と異なり光が乱反射します。その結果、摺りガラスのようなマスキング効果が発生。ホワイトニングで歯が白く見えるというわけです。ただしこの変化は、ミクロ単位の世界で起こる変化です。そのため、歯にダメージを与えたり、歯の一部分が欠けてなくなってしまうといことはありません。「ホワイトニングって怖い!」と思った方も、安心していただきたいと思います。
3.歯科医師の指導のもと正しいホワイトニングを繰り返し行うことが肝心
歯科医師の指導の下、ホワイトニングを正しい方法でくり返せば、歯のエナメル小柱の表面構造をほとんど丸くすることができるようになります。このような適切なホワイトニング施術を繰り返すことで、歯の表面で光の乱反射が頻繁に発生。次第にほとんどの波長の光が、歯の内部に入っていきにくくなります。このことは、歯の表面でほとんどの光が跳ね返されてしまうことと同じになり、結果として歯は白くみえるというわけです。
4.マスキング効果によるホワイトニングは永遠に続かない
ただしこの「マスキング効果」は永遠に続きません。エナメル質の形状は、時間と共に必ず元に戻る変化(医学的に言うと「可逆変化」と言います)です。ホワイトニング効果は、後戻りが発生するものだと覚えておいてください。ホワイトニングの後戻りについては、あとのブログで詳しくご説明することにいたしましょう。
5.ホワイトニングのメカニズム【後編】まとめ
エナメル質の微細な角柱構造を、フリーラジカル(遊離基=ゆうりき)作用によって球状に変化。結果、歯の表層で乱反射を発生させ歯を白く見せる。これを「マスキング効果によるホワイトニング」であるということを今回はご説明しました。またこの作用は一度のホワイトニング施術で完了するものではない。というお話しも合わせて行いました。何にせよ、歯科医師による正しい施術治療が、安全で確実なホワイトニングのカギであることはご理解いただけたのではないかと思います。