ホワイトニング治療は、はたして安全なのか?
今回のブログでは、患者さんにとって聞き捨てならない、「ホワイトニングすると歯の表面が溶ける」という噂についての真相究明をしたいと思います。歯科医院でホワイトニング治療を行っていると、「ホワイトニングって安全な治療なんですか?」「ホワイトニングをしたら虫歯になりやすいって聞きました」「ホワイトニングをしたら歯を痛めるからダメと親にいわれました」など驚くべき質問やお話をお聞きすることがあります。このような風評がたっているのは、由々しき問題です。
目次
1.ホワイトニング先進国のアメリカで問題が起きている?
2.ホワイトニングは安全?使う薬品の安全性は?
3.治療という観点でもホワイトニングは安全
4.ホワイトニングで使われる過酸化水素水の濃度は安全か?
5.ホワイトニングで歯が溶けるという都市伝説はどこから来た?
6.厚生労働省に認可されていないホワイトニング剤の存在
7.まとめ 歯科医師が行うホワイトニングは安全・安心です
ホワイトニング先進国のアメリカで問題が起きている?
質問者やホワイトニングが歯に悪いとおっしゃっておられる方の言う通りだとすると、ホワイトニング先進国であるアメリカでは虫歯大国になっているはず。本当にホワイトニングが歯や身体に悪影響を与えるのなら、訴訟大国であるアメリカを震撼させる社会問題になっているのではないでしょうか。むしろホワイトニングは、禁止されるべき違法医療行為に認定されていることでしょう。しかしながら現実はそのようなことはなく、世界的にも規制が厳しい日本においても、規制の対象にはなっていません。
※一部の美容・エステティックサロンで行う、ホワイトニング施術の中には問題があるモノも有るかもしれません。
ホワイトニングは安全?使う薬品の安全性は?
なぜホワイトニングが安全といえるのか?それはホワイトニングを行うために使用されるホワイトニング剤の成分を見ればわかります。この薬剤の主成分は過酸化水素水になりますが、注目すべきはその濃度です。治療で使用する薬剤の過酸化水素の濃度は約15~35割。これは通常、消毒液に使われている薬液と同等程度の濃度です。ことホーム・ホワイトニングで使用されている物に限ると、0.3割程度の過酸化水素水の濃度でしかありません。ほかの成分は、増粘剤・触媒で構成されていて極めて安全線が高い薬剤となっています。公的機関の保証に着目してみると、FDA:アメリカ食品医薬品局のお墨付きの薬液となります。
治療という観点でもホワイトニングは安全
ホワイトニングは、「治療行為」という観点で見ても、ADA:アメリカ歯科医師会にも認められています。これは日本においても同様で、各地の歯科大学でもホワイトニングの研究がなされ、多くの論文が発表・証明が行われています。そもそも、日本で新たな薬剤を販売する際は、厚生労働省の監督のもとに数多くの動物実験の後、一定数の臨床治験も行われ、本当に安全で有益な効果があるのか?確かめてからでないと認可されることはありません。
※すでに市販されている薬品に関しては、副作用を詳細に調べて販売を続けて良いものか否かの判断を行っています。
ホワイトニングで使われる過酸化水素水の濃度は安全か?
先ほど、ホワイトニングの安全性をご説明した際に、ホワイトニング剤には過酸化水素水が使われているというお話をさせていただきました。同時にそれが、消毒液と同等程度の濃度であることも併せてご説明しました。このコラムをお読みになっておられる方の中には、「過酸化水素水って歯に悪いんじゃないの?」「消毒液ってオキシドールのことよね!」と驚かれた方もいらっしゃるかもしれません。
ホワイトニングで使う低濃度の過酸化水素水は身体に影響はない
でも安心してください、過酸化水素水はお口に使用するには非常に理想的な消毒液。歯科でも広く使われる薬液の一種でもあります。当然のことながら、過酸化水素水も高濃度のものは身体によくありません。しかし36パーセント以下という、比較的低濃度のものであれば身体の中に取り込んでも問題ありません。
ホワイトニングで歯が溶けるという都市伝説はどこから来た?
では私が患者さんからたまに耳にする「ホワイトニングで歯が溶ける」という風評はどこから来たのでしょうか?コレ!というはっきりした理由や根拠はわかりません。ホワイトニングという治療は、いまから100年ほど前に始まりました。その頃は現在のように過酸化水素水ではなく、塩酸を使ってホワイトニングをしていたという記述があったように思います。塩酸であれば、歯を溶かす可能性もありますね…。このような経緯で間違った風評が広がったのかもしれません。
歯科医院に流通しているホワイトニング剤は?
現在流通しているホワイトニング剤の中身は、すべて過酸化水素水に置き換わっていることをこの場をお借りしてお話ししておきます。この置き換えは30年以上も前に済んでいることも合わせてお伝えしておきます。つまり現在のホワイトニング剤は、使用する方の歯を弱めたり悪影響を及ぼすことはないわけです。
厚生労働省に認可されていないホワイトニング剤の存在
ホワイトニングに対する安全性を議論する際、忘れてはならないのが、厚生労働省の認可を受けていないホワイトニング剤の存在です。これらの非認可の薬剤の中には、過酸化水素水の代わりに、クエン酸や酢酸を使ったものもあるようです。どうやらこれらのホワイトニング剤は、歯に意図的なダメージを与えるようです。なぜこのような非認可の薬剤が販売されているのか?そしてどのような意図でもって製造されたのか?まったくもって理解不能です。残念なことに、ネットなどでこのようなホワイトニング剤が販売されていることもあって、ホワイトニングに対する言われなき悪評が立っているのかもしれません。
まとめ 歯科医師が行うホワイトニングは安全・安心です
当たり前のお話ですが、歯科医師が行うホワイトニングは厚生労働省がきちんと認可した薬剤を正しく処方するため安全です。皆さんが安心・安全なホワイトニングを行いたいののなら、ネットなどで売られている安価なホワイトニング剤に手を出すのはやめておきましょう。まずは身近な歯科医師に相談して、十分納得してから治療を開始するようにしてください。